選挙の教室は、選挙を変え、日本の政治を変えていくための勉強の場です。選挙に関する様々な情報を収集し、これからの選挙はどうあるべきかを皆さんと一緒に考えていきたいと思います。
なお、このブログには、「早川忠孝の一念発起・日々新たなりー通称早川学校」掲載記事の外、選挙記者による投稿記事等を掲載しております。
☆早川忠孝のプロフィール
元東京弁護士会副会長、元衆議院議員。昭和44年自治省に勤務、富山県庁に出向して富山県選挙管理委員会書記等を経験。新しい選挙制度研究会代表。
連絡先:〒102-0093東京都千代田区平河町1-7-10平河町Sビル3階太陽コスモ法律事務所E-mail:tadataka-h@live.jp

選挙管理委員会

徳洲会選挙違反事件

これで選挙違反捜査が一変するーいよいよ地検特捜部が乗り出した

いつ地検特捜部が選挙違反捜査に乗り出すのだろうと思っていたら、既に水面下では動きが始まっていた。

これまでは選挙違反捜査は各都道府県警察の選挙違反取締本部の仕事で、警察の取締本部が解散すればその時点で選挙違反捜査が終わったと見ればいい、というのが選挙関係者の常識だったが、地検の特捜部が選挙違反捜査に乗り出したということになると状況は一変する。

警察の取締本部は各警察署からの応援部隊を集めての専従部隊だから、取締本部が解散すると選挙違反捜査に従事する警察官がいなくなる。
選挙が終わってから3ヶ月とか半年で選挙違反の捜査は全部終わるものだと大抵の陣営では思っていただろうが、地検特捜部は一旦着手した事件は結果が出るまで離さない。

それだけの陣容を抱えているのだから、警察の取締本部の存否に関わらず捜査を続けることが出来る。

徳洲会東京本部が強制捜査の対象となったということは、とかく組織的な選挙違反の噂のある陣営はすべて特捜の捜査の対象となり得るということである。

新しい選挙制度研究会や弁護士選挙研究会で色々話題となっていた陣営は、これで安穏としては要られなくなったということだ。

これから国政に挑戦しようとする方々はくれぐれも選挙コンプライアンス体制の構築に留意する必要がある。
今からでも遅くない。

まずは、選挙の神様でも読んでみることだ。

〈寄稿〉今回はダメ。でも次がある。

こんにちは、つじぼう(@ahina)です。
少しお久しぶりです。

参議院選挙選挙の公示が今月4日にされてから、私は病院のベッドの上でiPhone片手にネット選挙がどう動くか観察しておりました。

結論からいうと今回の参議院選挙は、ネットの影響はほとんどないと言えそうです。
なぜ殆どないと言えるのか?
そう言えるポイントが3つあるのです。

1:ソーシャルメディア世代と政治的関心世代の乖離
ネット選挙が解禁されることで一番恩恵に預かれるのは、ソーシャルネットをいち早く使う若者世代です。 
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(ソーシャルメディアの利用状況 : 平成23年版 情報通信白書 - 総務省)
この統計は総務省の情報通信白書から引っ張ってきましたが、平成23年なので今の状況と少し変わっているかもしれません。

しかし、ソーシャルネットの使用状況を見ると、30代から上の世代はソーシャルメディアを現在使っている率は急激に下がり40代で約35%、50代で約27%、60代で約22%になっています。
一方10代20代は60%以上と多くの人がソーシャルメディアを使っていることになりそうです。



さてもう一つグラフを見てみましょう。

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(財団法人 明るい選挙推進協会)
データ及び図は財団法人 明るい選挙推進協会からお借りいたしました。
こちらは年代別の投票率の推移ですが、ご覧のように衆議院でも参議院でも20代30代の投票率の低さが伺えます。

この2つのことから何が言えるか。
それは、ネットを得意としソーシャルメディアに慣れている世代は政治的関心が低ということです。
逆に、政治的関心が高く投票率が高い世代はソーシャルメディアに慣れていないとも言えます。


2:ネット情報は自分の関心のあることしか受け取らない

今までの選挙は公共性のあるメディアからしか情報を受取ることができませんでした。
有権者はテレビ等の情報だけが便りになり、その伝達方法は一方的であり断片的でした。

しかし、今回からのネット選挙は候補者自ら情報を発信することができます。
しかもソーシャルメディアは今までのオールドメディア(レガシーメディア)ではありえなかった候補者と有権者を直接繋げることできるようになったのです。

これは素晴らしいことだと思います。これだけでもネット選挙を解禁して良かったと思います。
ただ、ソーシャルメディアに問わずネットというのはある特性があります。
それは、自分の関心のある情報しか受け取らない、という習性です。

あなたがYahoo!で検索することは、あなたが関心を持っていることで、関心のないことは検索しないことでしょう。
私はツール・ド・フランスが好きなのですが、今この画面を見ているあなたはツール・ド・フランスを検索してはいないでしょう。(多分…)

このようにネットというのは双方向であるがために、能動的に政治の情報を集めない限り全く政治の情報を避けることが可能なのです。

3: 候補者がしっかりとした情報受信(発信)をしていない
実はこの3番目が一番重要で、今回の選挙でネット選挙が盛り上がらないもの候補者がしっかりとした情報受信(発信)をしていないという所が大きいのです。

上記の1や2は環境要因でネット選挙が盛り上がらない原因の1つではありますが、大切ではありません。
ネットに慣れてる世代が年をとれば多くの世代でソーシャルメディアの普及率も上がるでしょう。
また、選挙のポータルサイトができてば、多くの人に見てもらえるでしょう。
これらは簡単に解決できる問題なのです。

しかし候補者は違います。
候補者がしっかりとした情報受信(発信)ができないのは候補者の政治的能力が低いからです。
争点がないなんて、本当でしょうか?
国民の声を聞けば、この国をどうして欲しいか、そこら中に情報が転がっているではないですか?

先ほども説明した通り、ネットの世界は自分の好む情報しか集めません。これは候補者も同じです。
自分の好みとは違う情報を集め、有権者が今何を考えているのか徹底的に分析し、メディアを通じて発信しなくてはなりません。

今回の参議院選挙はそれができていません。
自分の埼玉選挙区の候補者を見てましたが、ただの広報にしか使ってなさそうです…
こんな使い方では、一生ネット選挙は普及しないでしょう…


ただ今回はダメでも3年後、5年後、10年後はまた違った形になると思います。
また国政選挙より地方選挙のほうが地域密着でネットと現実の乖離が少ない分、ネット選挙が有効になってくると思います。


ではまた。

公職選挙法の有権解釈は誰がするのか

2010-06-27 19:40:06 テーマ:選挙

公職選挙法の規定をどう解釈するかだが、皆さんに一番身近な存在はやはり選挙管理委員会だろう。


選挙管理委員会は都道府県と各市町村にある。

選挙管理委員会には選挙管理委員がいるが、個々の選挙管理委員が法令の解釈をしている訳ではない。

具体的な公職選挙法の解釈なり解説は、選挙管理委員会の事務局が行っている。


地方公務員である選挙管理委員会の事務局に公職選挙法の法令解釈が正確に出来るだろうか、と心配される向きもおられようが、市町村の選挙管理委員会の事務局は都道府県の選挙管理委員会から示されている通達に基いて具体的な法令の解釈や解説をしているだけ。


それでは、都道府県の選挙管理委員会はどんな基準で通達を作っているのか。

都道府県の選挙管理委員会が公職選挙法の立案作業をやっているわけではない。

実は、都道府県の選挙管理委員会の解釈や解説は、総務省の自治行政局の選挙部長が発出した通達が基準になっている。


それでは、総務省の自治行政局の選挙部が公職選挙法の立案を行っているのか。

答えは、ノーである。


公職選挙法は議員立法なので、総務省が直接立案の責任を負うことはない。

内閣が提案する閣法ではないので、当然、内閣法制局の審査も経ていない。

したがって、内閣法制局に公職選挙法の法令解釈についての有権解釈の権限がある訳ではない。


公職選挙法の改正は、基本的に衆議院議員によって担われるので、衆議院の法制局が立案作業の事実上の事務局になり、国会議員のする立案作業を補佐することになる。

この作業に、事実上総務省の自治行政局選挙部の担当者が専門家として関与することになる。

この立案作業の過程で出てきた様々な議論を踏まえて、総務省の自治行政局選挙部の担当者が想定問答集を作る。

検討の過程で出された様々な疑問をどうクリアーしたか、その議論の内容を整理したものが想定問答である。


選挙部長の通達は、基本的に国会審議用に作成されたこの想定問答に基いていると言って良い。

勿論、国会の審議の過程で行われた実際の質疑内容、とくに提案者の答弁内容が重視されることになる。

選挙管理委員会の法令解釈や解説は、結局この範囲を超えることは無い。


私の見るところ、議員立法はずいぶん杜撰で乱暴なところがある。

政治的な駆け引きや思惑で、エイヤッと、その時々の勢いで規定を作るところがある。

執行部の上層部だけで法案を纏めると、この規定の趣旨はどこにあるのか、一体どこからが違法で、どこまでが適法なのかがよく分からない規定が混じっていることがある。

与野党の幹部だけで折り合いをつけた改正の場合は、部会や委員会での実質審議が省略されてしまい、殆ど審議なしで成立してしまうので、結構恐ろしい。


立法者の意思、ということで法案提案者の趣旨説明が極めて重視されるが、立法当時立案者が想定したごくごく典型的な事例には当て嵌まっても、それ以外の限界事例やグレーゾーンのことになるとさっぱり要領を得ないことになる。


選挙管理委員会の典型的な回答は、公職選挙法に抵触する虞があります、というものだ。

選挙管理委員会に質問が寄せられるのは、大体が典型的ではないもの。

公職選挙法の規定を文言どおり読んだら、どうも該当しそうだが、本当はどうなのか、というのが、大体は選挙管理委員会に寄せられる質問だろう。

選挙管理委員会の職員としては、違反になりません、と断定的に言うことはなかなか難しい。

抵触する虞があります、と答えれば、まず間違いにはならないから、選挙管理委員会に聞けば大抵は違反の虞があります、ということになるはずだ。


結局は、判例や実例の積み重ねで対処する外無いことになる。

警察は、選挙違反の取締りの観点から公職選挙法の解釈をする。

選挙管理委員会の解釈や解説を参考にはするが、必ずしもこれに拘束されない。

違法の捜査、違法な逮捕、違法な家宅捜索、違法な取調べとされないかどうかが、基本的には警察の判断基準になるだろう。

たとえ形式的な選挙違反であっても、公職選挙法の規定に一見抵触していると見れば捜査の対象としても違法捜査には当たらないことになる。

現実に捜査の対象にするかどうかは、その時々の選挙違反取締対策本部の方針によって決まることになるが、私の見るところかなり流動的なところがある。


警察にパイプがある人がいれば、今度の選挙ではどんなことが捜査の対象となるか、ある程度の傾向と対策を練ることが出来るが、いずれにしても選挙の世界は、普通の人にはおよそ想像もつかない世界である。


さて、以上のことを理解して頂いたうえで、それでは公職選挙法の有権解釈の権限はどこにあるのか、という問いに対する一応の答えを出しておこう。

裁判所にある、というのが、私の答えである。

その中身は結構複雑だが、今日のところは、この程度で止めておくことにする。

皆さんのご意見をお伺いしてから、続きを書くことにしたい。


そろそろ相談に来るべしー戦いの渦中にある方々へのアドバイス(5)

2013-06-17 05:43:30 

都議選もいよいよ中盤戦を迎える。
序盤戦の熱気が冷めて中だるみをし始めるところと、一向に選挙が盛り上がらず選挙事務所に人が集まらないと嘆きはじめているところがあるはずだ。

選挙期間中のすべてを同じテンポ、同じリズムでやることはない。
時にはハイテンションにもなろうし、そうでない時もある。
どこでも同じだ。

こういう時に必要なことは、少しだけ頭を冷やして周りを見渡してみることだ。
戦略の見直しが必要なこともあるし、選挙スタッフに喝を入れる必要もある。
他人の目が必要である。

遅過ぎるが、それでもそろそろ弁護士にも連絡しておいた方がいい。
すべては自分を守るため、自分の家族を守るため、自分のスタッフを守るため、自分の支持者を守るためだ。

コストやリスクを最小限にして最大限の効果を上げる、ということを常に念頭に置く必要がある。
選挙に係るコストやリスクを最小限にするためには、どうしても、選挙に強い弁護士に相談しておく必要がある。
今はまだそういう弁護士は育っていないが、選挙が終わるころには何人かそういう弁護士が生まれているはずだ。
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