菅元総理が今日安倍総理を相手どって名誉毀損で提訴したという。

名誉毀損の場合の提訴には2種類あって、名誉毀損で刑事告訴する場合と名誉毀損で損害賠償や謝罪広告を求める民事裁判の提訴とがある。

名誉毀損で刑事告訴してこれが空振りに終わるとこんどは逆に誣告罪で告訴されることになるから、多分菅元総理は民事上の手続に踏み切ったのだと思う。

危ない橋を渡るものである。

誰でも裁判を受ける権利が保証されているから、元総理が裁判を起こしたからと言って誰からも批判されることはない。
裁判を起こしたということは起こした当人でなければ分からないことだから、ご本人が裁判をお越したと言わなければ誰にも分からないところだが、菅氏はあえて自分のブログでそう宣言した。

自分に対する包囲網が強く、しかも民主党の劣勢を覆す方法が見つからないための一世一代の大博打のつもりか知らないが、随分愚かなことをしたものだ。

こういうのも、切れる、ということの一つの表れである。

頭が切れるのならいいが、プツンと何かが切れたのでは危なくて仕方がない。

名誉毀損の訴訟は、泥仕合になる。
関係者がこれ以上争っても当人には何もメリットがない、と得心するまであらゆることを材料に持ち出して徹底的に争わなければならないからロクなことにはならない。
大体は世間が忘れた頃に手打ちして取り下げに終わるのが名誉毀損訴訟である。

5年は続くと見ておいた方がいい。

理性が勝てば、ちょっと待て、ということになる。
今のところは、一時の感情でこういうことをやったのだろう。

打算や勘定を超えたところで戦わなければならない時もあるが、大義の伴わない戦いはすべきではない。
菅氏の提訴に大義は、ありやなしや。

大義があればとうの昔にやっている。
自分の個人的な名誉感情を被害法益としての提訴なら、やはり大義はないと言うべきだろう。

さて、どうすればいいか。

幸いまだ提訴したばかりのようだ。
安倍総理に訴状が送達される前に取り下げることだ。
被告が訴状を受け取っていない限りは、被告の同意がなくても取り下げはできる。

もっとも、法廷で元総理と現総理が直接対峙する姿を見てみたい気もする。
東京電力福島原子力発電所の事故が起きた直後の菅氏の対応が適切だったのか、当時の政府の対処はどうだったか、東京電力の対処はどうだったか、そもそも歴代の内閣の原子力推進政策は妥当だったのか、等について裁判所の判断を聞いてみたい。

そこまで徹底的にやると10年以上裁判は続くだろう。

さて、どうするか。

菅氏の周辺にはやはりいい参謀がいなかったようだ。