2013-06-02 19:35:30 テーマ:選挙
「あの弁護士は民事専門だ。刑事事件はやったことがないみたいだ。」
そんな風に警察官から言われたら要注意である。

この一言で、家族が自分との連絡窓口に指定した弁護士に対して不信の念が湧いてくるものだ。
民事専門の弁護士よりも刑事事件の捜査のプロの取調官の方が頼りになりそうな錯覚に陥ってしまう。

身柄を拘束された人が誰の立会いもなく自由に交通できるのが、弁護士である。
外の世界と繋がることが出来る唯一の窓口、明り取り、パイプが弁護士である。
選挙違反程度の刑事事件は、弁護士であれば誰でもできることだ。
弁護士バッジがあって、すぐ動いてくれる弁護士であれば誰でもいい。

しかし、一般の市民はそんなことも知らないから、民事専門の弁護士は役に立たない、他の先生を頼んだ方がいい、などと言われると動揺してしまう。
この一言が、絶対に失ってはいけない、唯一の守り神となるべき自分の弁護士に対しての信頼を失わせてしまう。

外部との連絡を遮断されると、大抵の人は正常な判断能力を失う。
46時中目の前にいる警察官の方が親切で頼りがいがあるように見えてくる。
そして、如何にも親切そうな警察官の言うとおりになってしまい、自分の弁護士に本当のことを言わなくなってしまう。

捜査当局は、捜査の障害になりそうなことは、予め出来るだけ排除しようとする。
当然のことだ。
勿論、最大の障害は容疑者の身柄確保が出来なかったり、証拠隠しをされてしまうことだ。
実は、弁護士の存在も捜査当局にとっては大きな捜査の障害要因となる。

弁護士がいなければ思い通りに捜査を進められるのに、弁護士が入るとあれやこれやうるさいことを言って容疑者から思い通りの供述が得られない。
弁護士が入る前に大事な供述を取れ、ということになる。

現実に、警察は弁護士と連絡を付けられないタイミングを見計らって強制捜査を始めたのではないか、と思うようなことが多い。

金曜日の夕刻に一斉に家宅捜索、強制捜査だ、などということになると、まず弁護士と連絡が付かない。
週休2日が一般化しているから、金曜日中に弁護士と連絡が付かないと、土曜も日曜も弁護士と連絡がつかない。
やっと休みが明けて知り合いの弁護士のところに連絡がついても、月曜日に直ちに普通の弁護士が動けることはまず期待できない。
金、土、日、月の4日間は、事実上被疑者は外部との連絡が遮断された状態になる。

外部との連絡を完全に遮断された人は、真っ暗闇の中にいるようなもの。
自分がどういう状態にいるのかが分からない。
自分がどうしたらいいのか分からない。
こういう時に優しく話しかけてくれる親切な警察官が現われてくると、大体はその警察官の言うとおりに動く。

選挙違反の容疑で身柄を拘束された被疑者が自分の本当の守り神となるべき弁護士と面会する頃には、大体の供述調書は取り終えられている、ということになる。

実質的には違法性がないような行為も外形上公職選挙法違反の構成要件に該当することが多い。
一般の善良な市民、普通の市民が巻き込まれやすいのが選挙関係の犯罪である。
弁護士から本当のことを教えてもらっていたら事件にはならないで済んだかもしれないのに、本当のことを知らなかったために自分自身ではやってもいないことをやったと認めてしまったり、自分の知人や仲間がやってしまったかも知れないなどとあやふやな供述をして他人を窮地に追い込んでしまったり、などということもある。

弁護士であれば、誰でもいい。
弁護士以外は誰一人として役に立たない。

そのことを一般の方はよく知っておくべきである。