2013-05-30 05:24:57 テーマ:選挙
何でもご存知だと思っていたが、やはり分からない人にはどう説明しても分からないものだ。
ガッカリはしないが、言葉で説明することが如何に難しいことかを改めて痛感している。

私が今、弁護士の役割について多く筆を割いているのは、普通の事件しか扱ってこなかった若い弁護士に対して選挙について目を向けるように促すためである。

まずは、普通の弁護士でも普通に役に立つのだということを強調している。

しかし、弁護士が役に立つ、弁護士しか役に立たない、弁護士だけが役に立つ、ということをいくら強調しても、多くの弁護士は依然として尻込みするだろうと思っている。

選挙にはどうも胡散臭い匂いがするからだ。
選挙違反事件や刑事事件に頻繁に関わる弁護士は、組織暴力団や高利貸しに雇われる弁護士、危ない商法に関わる弁護士と同様だと思ってしまうのかも知れない。

事件のもみ消し、証拠の隠匿、首謀者の逃走幇助などをやる弁護士がいれば、確かにこれはダーティビジネスになるが、普通はそんなことはないし普通の弁護士は絶対にそんなことはしない。
弁護士の数が急速に増えて、食えない弁護士が街中にゴロゴロいる、というような事態になると依頼者の言うことには何でもハイハイと聞いて弁護士の矩を超えてしまうような弁護士が出てこないとも限らないが、今のところは、日本の弁護士は辛うじて弁護士としての矜持を失わないでいると信じている。

普通の弁護士は、多分選挙の法律問題に関わることを本能的に嫌うだろう。
私の限られた経験では、選挙は概ね正解がない世界だから、表面的な法律の知識だけではどうしようもないことが多い。

何らかの答えがあればいいのだが、様々な要素が絡み合ってくるから、まず単純明快な答えは得られない。
答がない事件は、普通の弁護士は引き受けない。
それこそ事件になったら来てください。
逮捕されたら来てください、ということになる。

言ってみれば、相手が何か悪いことを仕出かしそうな雰囲気があるから何とかして欲しいと警察に相談に行っても、警察が動いてくれないようなものだ。

事件が起きたら来てください。
被害が発生したら来てください。
そう、直截に口に出さなくとも、現実の被害が発生していない段階では警察は聞き置くだけで動かないものだ。

警察が動かないのはある程度仕方なくても、弁護士は相談があったら真摯にこれに対応すべきである。

弁護士は、逃げてはいけない。
これが、私の基本的なスタンスである。
しかし、現実には、多くの弁護士はどうひねくっても単純な答え、明快な答えが得られないような複雑困難な問題からは逃げるはずだ。

弁護士選挙研究会は、この複雑困難な選挙の問題を出来るだけ分かりやすく、かつ普通の弁護士が取扱いやすい問題に変えるための研究会だが、しかし、仲間を増やすのは相変わらず難しそうだ。
私が、弁護士の役割について何度も書いているのは、私のブログを読みながらなお逡巡を続けている若い弁護士に参加を促すためである。

多分弁護士にしか分からないことをしつこく何度も書いて、申し訳ない。